関東学院大学経済学部
安田八十五研究室
特別研究報告シリーズ
No.2006−03−02
―環境省重点研究成果―
by
安田 八十五
−日本型EPRの制度化に関する政策提言−
基調講演
未完成(禁無断転載)
修正版:2006年 4月11日(火)
平成18年3月2日(木)14:00−17:30
会場:関東学院大学関内メデイアセンター
環境政策学者(工学博士)
安田八十五
Dr. Yasoi YASUDA
〒236−8501横浜市金沢区六浦東1-50-1
関東学院大学経済学部教授
研究室直通電話:TEL&FAX:045-786-9802
事務室TEL: 045-786-7056 事務室FAX: 045-786-1233
電子メイル: yasuda85@kanto-gakuin.ac.jp
安田八十五専用ホームページ:http://www.yasuda85.com
安田八十五
1.序論:容器包装リサイクルの現状と課題
現在、家庭から排出される容器包装廃棄物は、一般廃棄物(家庭系自治体廃棄物)全体では容積比で約6割、重量比で約3割を占めている。日本の一般廃棄物は、バブル経済の崩壊した1992〜93年を境に微増ないし横ばいの傾向ではあるが、それでも毎年約5,000万トン排出されている。単純に計算しても、その内の約3,000万トンが、この容器包装廃棄物であることになる。そこで、これら容器包装廃棄物の資源化を目的に容器包装リサイクル法、正式名称「容器包装に係わる分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」が1997年(平成9年)4月に一部施行、2000年(平成12年)4月に完全施行された。1997年4月施行時点の内容としては、ガラスびん色別3種と飲料・醤油用ペットボトルの4品目であったが、2000年4月からは、他のプラスチック製容器包装が加わり、現在の4分別10品目が対象になっている。消費者が容器包装廃棄物を分別排出し、市町村(自治体)が分別収集し、事業者(製造業者)が再商品化(再資源化)するという効果的なリサイクルシステムの確立を目指すというものであった。ただし、アルミ缶、スチール缶などは、すでに、リサイクルの仕組みがあり資源化率も高く、また、市町村で分別収集されることにより有価物として取引されリサイクルされるため、事業者の再商品化義務の対象外となる。一部では、費用の負担が偏っているなどの問題がある。容器包装リサイクル法は、施行10年後に改正を行なうことになっているので、その時にこの費用負担の問題も取り上げられると期待されていた。
容器包装リサイクル法の施行に伴い、各自治体でのゴミの収集の仕方が変化してきた。今までよりも細かく分別されるようになってきている。また、拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility: EPR)という理論があり、これは生産者が製品の製造・流通・消費時だけでなく、消費後に製品が廃棄されてごみ処理・リサイクルされる段階まで生産者の責任を拡大しようとする考えである。これにより、生産者は、回収、処理の容易な製品を製造するようになり、リサイクルを考えに入れて材料や部品を選択するようになるのではないかと考えられている。容器包装リサイクル法をスムーズに推進させるには、拡大生産者責任の考え方を取り入れた方が効率的かつ公平な運用が可能になるといわれてきた。
現在、日本では容器包装リサイクル法の改正が大きな社会的問題になっている。ことに、容器包装リサイクル費用における自治体の費用負担が大きく(約8割)、それに対して製造業者の負担が極めて低く(約2割以下)、自治体の財政を圧迫している。最近、環境省・経済産業省の合同審議会の答申が出されたが、極めて問題の多い答申案である。これに関連して、安田八十五を代表者とする容器包装リサイクル研究会は、環境省科研費重点研究プロジェクトに採択され、『容器包装の分別収集・処理に係る拡大生産者責任の制度化に関する研究』を平成16年度から3ヵ年計画で進めています。平成16年度(2004年度)は、欧州ことにフランスとドイツの拡大生産者責任制度(Extended Producer Responsibility、以下EPRという)の普及割合や効果等を調べた。平成17年度(2005年度)は、韓国のEPRの導入状況の現地海外調査を行った。
平成16年度の研究成果としては、安田 八十五編著(2005)および安田 八十五・李 松林(2005)などがある。容器包装等のリサイクルに関する費用「リサイクル費用」を定義し、具体的に測定と評価をしている。また、リサイクル費用を容積ベースで算定するときに必要な「逆かさ密度」を計測するためのかさ比重調査の計測結果を用いて、主要な6都市のアルミ缶・スチール缶、ガラスびん、ペットボトルのリサイクル費用を重量ベースおよび容積ベースで算定し、都市間で比較をしている。
平成17年度研究では、これまでのリサイクル費用の研究を踏まえ、川崎市・横須賀市・東京都新宿区等6都市を追加し、そのリサイクル費用を重量ベースと容積ベースで算定し、他都市との比較を行ない、分析、評価し、課題も含め検討する。以上の分析に基づいて、現在提案されている政府審議会の答申案および拡大生産者責任(EPR)を導入した場合における容器包装リサイクル費用配分の政策シミュレーションを実行する。最後に、日本型EPRの制度化に関する政策提言を行う。
2.全国における4品目別リサイクル費用の測定と評価
容器包装リサイクル法に基づいて、4品目10分別された容器包装に係わる資源ゴミの収集・処理・保管をするのに、日本全国の自治体では、2003年度(平成15年度)で合計約3000億円の費用を要したとのデータが環境省から公表されている。約3000億円の内、アルミ缶・スチール缶・ガラスびん・ペットボトルにどの程度の割合で費用を要したのかを2003年度(平成15年度)の生産量(表1を参照)を各々の500ml当たりの重量で割り500ml換算の本数(表2を参照)を計算し、6都市平均の500ml一本当たりのリサイクル費用(表3を参照)をかけて算定した。容積ベースに関しては冬季の「逆かさ密度」(安田八十五(2006)を参照)を用い、500ml一本当たりのリサイクル費用のデータを掛けて測定した。その結果を表4に示す。
表1 容器包装材の品目別生産量・リサイクル率の推移 (単位:トン)
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アルミ缶 |
スチール缶 |
ガラスビン |
ペットボトル |
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2003年 |
生産量 |
297,047 |
911,000 |
1,561,000 |
436,556 |
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リサイクル率 |
81.8% |
87.5% |
90.3% |
61% |
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2004年 |
生産量 |
303,169 |
908,000 |
1,554,000 |
513,712 |
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リサイクル率 |
86.1% |
87.10% |
90.7% |
62.3% |
データの出所:アルミ缶=アルミ缶リサイクル協会、スチール缶=スチールリサイクル協会、ガラスービン=ガラスびんリサイクル促進協議会、ペットボトル=PETボトルリサイクル推進協議会。
500ml当たりの容器重量は アルミ缶=20g、スチール缶=50g、ガラスびん=190g、ペットボトル=38gとした。データの出所=容器間比較研究会(2001)「LCA手法による容器間比較報告書<改定版>」。
全国における品目別リサイクル費用の算定方法は、次のとおりである。
1)500ml換算の本数=生産量×500ml当たりの重量(表2に示す)
2)全国の品目別リサイクル費用(重量ベース)
=500ml当たりリサイクル費用(重量ベース)×500ml換算の本数
3)全国の品目別リサイクル費用(容積ベース)
=500ml当たりリサイクル費用(容積ベース)×500ml換算の本数
表2.2003年度における4品目の個数換算した生産量(1個当たり500ml換算)
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アルミ缶 |
スチール缶 |
ガラスびん |
ペットボトル |
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各容器重量 |
20g |
50g |
190g |
38g |
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2003年度生産量(トン) |
297,047 |
911,000 |
1,561,000 |
436,556 |
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2003年度本数(換算) |
14,852,350,000個 |
18,220,000,000個 |
8,215,789,474個 |
11,488,315,789個 |
表3 自治体の容器別リサイクル費用(500ml一本当たり)(2003年データ使用)単位:円
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アルミ缶 |
スチール缶 |
ガラスびん |
ペットボトル |
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横須賀市 |
容積ベース(冬) |
0.17 |
1.76 |
2.16 |
2.36 |
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容積ベース(夏) |
0.65 |
2.45 |
2.99 |
3.05 |
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重量ベース |
-0.72 |
2.15 |
9.49 |
1.87 |
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横浜市 |
容積ベース(冬) |
2.65 |
4.47 |
5.15 |
5.13 |
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容積ベース(夏) |
4.52 |
6.56 |
7.46 |
7.44 |
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|
重量ベース |
0.26 |
5.52 |
20.95 |
4.68 |
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日野市 |
容積ベース |
- |
- |
- |
- |
|
重量ベース |
-1.28 |
1.68 |
8.76 |
1.74 |
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仙台市 |
容積ベース |
1.50 |
2.61 |
2.84 |
2.84 |
|
重量ベース |
-0.52 |
2.11 |
8.59 |
1.72 |
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北九州市 |
容積ベース |
0.17 |
4.19 |
4.70 |
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